こんにちは、JOUROライターの岩田紫苑です。
先週に引き続き、今週も名港フラワーブリッジの辻田実希さんのインタビューをお届けします。前編はこちらから。
東海地区最大の生花市場である、株式会社名港フラワーブリッジに、2020年入社。現在システム課に所属し、ブログやyoutubeを更新しつつ、営業さんのサポートも担っているそう。
後編では、毎日たくさんの植物が流通する市場で、実希さんがどのように専門的な知識や情報を収集しているのかをお聞きしたり、コロナ禍に入社したからこそ、課題に感じたことなどを伺いました。
SNSで、こちらのPOPを拝見しました。
敬老の日に、お花のリンドウと、小説家の宮沢賢治さんを掛け合わせて、ご紹介したPOP。
こちらは、実希さんが制作されたものですか?このアイデアは、どのようにして生まれたものでしょうか?
はい、そうです!2パターン作りました。アイデアを思い付いたというより、もともと小説が好きで…宮沢賢治さんは、お花の描写が凄く綺麗なんですよね。私も普段から会社のブログやyoutubeで発信をするので、小説家がお花をどんなふうに表現しているのか、知りたいと思って、読んだりしています。お花を言葉で表すのって、難しいですよね。
なるほど。私も仕事柄、お花を表現することが多いので、とても参考になりました。
普段から、沢山のお花や緑に触れていると思いますが、どのように情報収集したり、知識を深めていますか?
LOVEGREENや植物生活など、専門的なメディアで調べることもあります。また、図鑑を使ってみたり、Google scholarでキーワード検索を使うこともあります。様々な論文が出てきて、とても面白いですよ。
論文だと、さらに深い知識が得られそうですね。
植物への知見がある実希さん、お仕事する上でなにか意識していることはありますか?
お花屋さんだと、そのお花がどこの誰によって作られているものなのか、分からないことが多いです。一方、卸売市場にいると、産地名が記載された段ボールの中に、お花が梱包されて届くので、お花と産地名や出荷者様の情報がしっかり一致しています。
また、取材させて頂く出荷者様はみな、自分で育てている植物が大好きな方ばかり。その想いを知ると、しっかり私もPRして、売ってあげたいなと思いますね。
その一環で、会社のブログやyoutubeを積極的に更新しているんですね。
因みに、こちらのブログ「卸売市場の役割」がとても分かりやすく、勉強になりました。
この記事を書こうと思った背景は何かありますか?
私が入社した時、1回目の緊急事態宣言が発令されたコロナ禍でした。そのころ、ロスフラワーが増えてきて、産地直送や市場を通さないルートでの販売が目立ってきた時でした。市場内でも、お花の価格が落ち込み、周りの皆さんの顔色が悪かったですね…そんななか、自分が働く場所はどんな役割があるのかな、と改めて考え直し、このブログを書いてみました。
市場は、品質のよいお花が、適正価格で出回るための通過点です。
市場を通さないルートでの販売では、規格外というお花が世の中に出回ることもあります。実は、ここに問題があるんです。例えば、あまり元気がない規格外のお花が世に出回り、たまたま長持ちしなく、手に取ったお客様が、その1度の体験だけで(私はお花を育てるのには向いていないな)と思ってしまうリスク。お花は野菜と違って、今日食べることができれば、それでよい、というわけではないですよね。長持ちしないといけないですし…。
価格の安いお花は、なぜその値段なのか?ということを理解して、納得して購入しないと…ですね。最後に、卸売市場で働く実希さんが考える、現在の花業界の課題とは何でしょうか。
コロナ禍になり、より気軽にお花が手に入る時代になったからこそ、そのお花の品質、そして価格の意味をしっかり把握する必要があると思います。プチプラのお花も、お花に触れるきっかけ作りにはなりますが…
産地から卸売市場を通るルートでは、(この質だからこの値段だよ)と、客観的に判断されたものが流通しますので。
それを踏まえた上で、私にできること。それは、しっかり産地さんのサポートに入り、PRをしていくこと。
例えば…珍しいお花や、枝ものを生産していて、全国から引っ張りだこの出荷者様がいらっしゃるのですが…日々の生産業務に忙しく、後継者もいなく、PRをする時間がないそうです。その産地さんは、山奥にあり、市場に勤める私だからこそ、足を運ぶことができる場所でもあるので…その繋がりを大切にしながら、どんどん情報発信をしていきたいです。そのお花がどんなストーリーをもって、育てられてきたのか、お花屋さんや一般のお客様に伝えていきたいと思っています。
実希さん、お忙しいなか、インタビューに応じてくださり
ありがとうございました!私自身も、卸売市場の役割を再確認し、勉強になりました。
今後も、実希さんだからこそ伝えられることがあると思いますので
ブログやyoutubeの更新、楽しみにしていますね。
▶辻田実希さん
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